はじめに
ストレスのない人なんていないですよね。
皆、何かしらストレスを抱えて生きています。
学校や仕事での人間関係はもちろん、テスト勉強や締切までに仕事を仕上げなきゃならないプレッシャー、目障りな映像や騒音、臭いなどの感覚を刺激するものや、継続的な刺激もストレスになります。子育て中のお母さんも授乳のために睡眠が取れなかったり、我が子であっても、ぐずって泣き止まない赤ちゃんの泣き声もストレスになりますよね。
ストレスを感じる理由は人それぞれ。
ストレスを感じて上手く対処出来ていたり、回避することが出来たらよいのですが、ストレスを自分の中にため込んでしまい、心や身体に影響が出てきてしまうこともあります。
「ストレスは万病の元」
ですね。
私たちの生活の中で、避けて通ることのできないストレス。
ストレスがどのように頭皮や髪の毛にどんな影響が出るのか、
日々細胞分裂して成長している髪の毛が、ストレスを受けることでどんな変化が起こるのか、
今回はストレスによってどんな変化が髪の毛に起こるのか掘り下げていきます。
ストレスとは何?
まずは意味から、
ストレスとは、生活上のプレッシャーおよび、それを感じたときの感覚である
wikipediaより
毎日生活している中で、自分の内部から発生するものではなく、自分を取り巻く環境からの、外部からの刺激に対する自分の内部に起こる反応
ってことですね。
ストレスの原因はストレッサーと呼ばれ、その外的刺激の種類から下記のように分類されます。
- 物理的ストレッサー:寒冷、騒音、放射線など
- 化学的ストレッサー:酸素、薬物など
- 生物的ストレッサー:炎症、感染
- 心理的ストレッサー:怒り、不安など
それでは、ストレスを体が感じたら、身体にはどのような反応がおきるのでしょうか?
ストレスに対する身体の反応
ストレスが体に与える影響は以下になります
- 自律神経の乱れ
- 自律神経の乱れから血行不良による冷え
- ホルモンバランスの乱れ
- 活性酸素の増加
ストレスを体が感じると自律神経に影響し、自律神経が乱れてしまいます。下痢や便秘、胃炎などの消化器への影響、気持ちもイライラし精神面にも影響します。
自律神経が乱れ、交感神経が優位になることで血管が収縮し血流が抑制されます。そうなると体の四肢末端に運ばれる血流が悪くなり体の冷えにつながります。首こり肩こり、腰痛なども血流の悪さが影響してます。
また、ストレスにより自律神経が乱れると副腎から副腎皮質ホルモンの一種であるコルチゾールが分泌され、男性ホルモンや女性ホルモンなどの性ホルモンの生成が抑制されてしまい、女性であれば月経前症候群(PMS)がひどくなったり、生理周期が乱れたり月経が止まることもあります。
活性酸素には体内に侵入したウイルスや細菌を退治する働きがありますが、必要以上に増えてしまうと健康な細胞にもダメージを与えてしまい老化や病気に影響します。
食生活の乱れや飲酒や喫煙、過激な運動や紫外線、そしてストレスが活性酸素を増やす要因です。
ストレスを受けると、ストレスに対抗するために副腎皮質ホルモンが分泌されますが、分泌と分解の過程で活性酸素が発生します。
またストレスで緊張が続くことで血管が収縮、その後に血管が拡張し血液が流れる時にも活性酸素が発生します。
更に、ストレスは抗酸化物質であるビタミンCを大量に消費するため、ストレスがあると活性酸素に対抗する力も弱まってしまいます。
「自律神経が乱れ」が、一連の不調のきっかけなんですね。
では自律神経について掘り下げていきましょう♪
自律神経のこと 交感神経と副交感神経
人間の体には、無意識下で血管や内臓、免疫の働きなど生命活動に関わる動きをコントロールする2つの自律神経があります。
相反する方向に働く交感神経と副交感神経
自律神経は体全体に関係するシステムで、内臓や血管など全身に分布し、呼吸、消化、循環、分泌などをコントロールしている神経系です。
その名の通り、自律した神経で、私たちの意思でコントロールできないのが特徴。
自律神経は、次の2種類の神経系統から成り立ってます。
- 交感神経
- 副交感神経
これらの2種類の神経系統はそれぞれが相反する方向に働いてます。
交感神経が興奮させ、
副交感神経がリラックスさせる、
ということになります。
日常生活では仕事や運動で体を動かしたり、怒ったり、緊張している場面では交感神経が優位に働き、
休息や睡眠、食事など穏やかな気持ちで過ごしている場面では副交感神経が優位に働いています。
2つが同時に働くことはなく、片方が働いているときは、もう片方は休んでいます。
心や体の状態でバランスは変わり、状況に応じてどちらかが優位に働く仕組みになっています。
2つの自律神経のバランスで人間は生きている
交感神経は体が活発に動く昼間に優位になります。
仕事や運動、勉強など、集中して体や頭を動かすときに働いて、活動しやすい状態にします。
交感神経は「闘争と逃走の神経」と呼ばれていて、緊張しているときやストレスを感じているときも働きます。
交感神経が働いているときには、
- 血管は収縮
- 血流は抑制
- 体温は下がる
- 心拍は上昇
- 気管支は拡張
一方、副交感神経は、休息や睡眠、食事などリラックスした穏やかな状態のときに働きます。
副交感神経が働いているときは
- 胃酸の分泌を促し
- 消化に必要な機能が活発
- 血流も良くなり
- 体温が上昇
- 心拍は遅くなります
- 不眠、
- 動悸、
- 便秘や下痢、
- 頻尿、
- 多汗、
- 頭痛、
- 倦怠感、
- 手足の冷え、
- イライラ。
- 食欲不振、
- 集中力の低下、
- 気が滅入る、などさまざま
交感神経が優位すぎると顆粒球が増加しリンパ球が減少
交感神経が極度に緊張すると、アドレナリンの分泌が増加し、白血球の顆粒球が活性化します。
顆粒球が過剰に増えると、炎症性の疾患や健康な細胞組織の破壊が起き、潰瘍やリウマチ、がんなどを発症することになります。
これは顆粒球が放出する活性酸素による影響が大。
白血球のマクロファージ、顆粒球、リンパ球のバランスからしてもともと数が多い顆粒球が増えれば当然リンパ球の数は減ってしまいます。
そうすると本来リンパ球が処理するはずの小さなウイルスやがん細胞が放置されることになります。
また、リンパ球が持っている免疫の働きも鈍くなってしまうことになります。
そうなるとどんな症状が出てくるかというと、
- 低体温
- 血圧が高い
- 顔色が悪い
- 肩こり、腰痛
- 胃炎や胃潰瘍
- 便秘や下痢
- 吹き出物が続く
- 風邪が長引く
- 呼吸が浅い
- いつもイライラしている
- 人の言動や物音に過敏に反応
- 不安感が消えない
副交感神経が優位すぎても体調不良は起こる
それはそれで問題。
副交感神経が優位になるとリンパ球が必要以上に活性化します。
そうすると害のない異物に対してまで過敏に反応し、アレルギー性の疾患が起こりやすくなります。
- 花粉症
- ぜんそく
- アトピー性皮膚炎
- 精神的には急ぎの仕事があっても急げない
- 取りかかれない
- やる気の低下
次は、ストレスが頭皮や髪の毛にどう影響するのか見ていきましょう!
ストレスが頭皮や髪に与える影響
自律神経の乱れ
ストレスにより交感神経が優位になり、血管の収縮による血流の悪化、血流の悪化から首こり肩こりも引き起こされます。そうなると頭部への血流にも影響します。
血行の悪化
ストレスによって自律神経が乱れると血管が収縮し血行が悪くなります。体の四肢末端、特に頭部は体の中でも一番高い所にあるため血流不足の影響を受けやすい部位になります。
血液に含まれる酸素や栄養分が頭部に十分に届かなくなることで毛髪の成長に影響し、薄毛や抜け毛の原因になります。
ホルモンバランスの乱れ
ストレスを受けると、副腎皮質ホルモンのコルチゾールが分泌されることにより、女性ホルモンの生成が抑制されます。
女性ホルモンのエストロゲンは下記の働きがあります
- 髪の毛の成長期を維持
- 頭皮の皮脂腺の調整
- 5αリダクターゼの阻害
エストロゲンは髪の毛の成長に欠かせないホルモンです。
血行不良により髪の毛に栄養が十分行き届かないことに加え、エストロゲンの減少により、髪の毛のうねりやパサつき、アホ毛、髪の毛が切れやすいなどの髪質の影響や抜け毛も出てきます。
エストロゲンの分泌のピークは20〜30歳、それ以降は徐々に少なくなり、更年期を迎える50歳前後で更に減少すると言われていますが年齢による影響だけではなく、ストレスもエストロゲンの分泌に影響します。
またホルモンバランスが乱れることで、男性ホルモンのテストステロンが過剰に分泌されると頭皮の皮脂分泌が増え頭皮環境が悪化、髪の毛の成長サイクルが乱れて抜け毛が増えてしまいます。
亜鉛の減少
ストレスが多いときは、亜鉛の需要が高まります。
肝臓に亜鉛を集めて、以下のようなストレスに対処する酵素を活性化させます。
- SOD(スーパーオキシドディスムターゼ、抗酸化による炎症を抑制)
- メタロチオネイン(亜鉛で構成される抗酸化・解毒タンパク質)
- 肝臓の尿素回路におけるアンモニアの解毒に亜鉛が必要
SOD スーパーオキシドディスムターゼ
SODは有害な活性酸素であるスーパーオキシドアニオンを、酸素と過酸化水素に変換し活性酸素を減らします。
このSODに亜鉛が必要になります。
メタロチオネイン
メタロチオネインはストレスに対処するタンパク質。亜鉛で構成される抗酸化・解毒タンパクと言われています。
ストレスを受けることにより、亜鉛の需要が高まり亜鉛が消費されます。そのため体の亜鉛が不足し次のような症状が出てきます。
- 味覚異常・臭覚異常
- 食欲不振
- 下痢
- 傷の治りが遅い・皮膚の異常
- 脱毛
- 貧血
- 免疫低下
- 精神異常・行動異常
- 精子減少症・無月経など
亜鉛はストレスを感じている人はもちろん、抜け毛が気になる人、風邪を引きやすい人、心が乱れやすい人も積極的に取り入れていきたいミネラルですね。
新しい髪の毛を作るためにも亜鉛は必要なミネラルになるので、亜鉛を消費しない生活を心がけつつ亜鉛を食事から摂取していきたいですね。
食事でとるなら、牡蠣、サバ、イワシなどの魚介類が有名。
体への吸収を考えると食事で取るのが一番良いのですが、食事でとるのが難しい方はサプリを上手く取り入れるのもアリですね。
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まとめ
30年近く前の話。
私が初めて就職した職場の同期で、綺麗な長い直毛の艶髪が特徴的な女の子がいたんです。
確か、地方から出てきた22、23歳の女の子。
部署も違ったのであまり顔を合わせることもなかったのですが、久しぶりに寮で見かけた彼女は髪の毛がなくなっていたんです。
髪がなかった。
眉毛もなかったような気がします。
目が合ったけど、私は衝撃の方が強くて口から何も発することもできず、
その子もすぐにドアを閉めて自分の部屋に入ってしまったんです。
多分その子も何も触れて欲しくなかったんじゃないかと思います。
そーっとしておいて欲しい。
そんな心境。
彼女は、NICU(新生児集中治療室)に配属になり、仕事の緊張感や人間関係、地方から出てきて寮での一人暮らしなど、ストレスが大きく影響していたんだろうな、と 想像します。
それ以来彼女に会うこともなく、あまり積極的なタイプではない私は自分から彼女と連絡を取ることもなく職も変えたので彼女が今どうしているのかも分かりませんが、
私の脳裏に焼きついた忘れられない記憶になってます。
髪の毛が一気に抜けたのか、少しずつ抜けて行ったのか、
経過を知るほど顔を合わせることもなかったので
久しぶりに見た彼女は別人のようでした。
なんて声をかけていたら正解だったのか、
何食わぬ顔で、変わらぬ態度で「久しぶり!」って声をかけたらよかったのか、
多分、そうする以前に衝撃が顔にまんまと出ていたので、そんな私の成長度では変わらぬ態度は装うことも出来なかったけど。
髪の毛、抜け毛、薄毛にまつわることって、とてもデリケートな話。
迂闊に声をかけたら傷つけてしまう。
30年近くたった彼女は今どうしているのか。
「あの時は本当やばかったんだよねー」と
時間が経過したからこそ辛かった過去を言える彼女になって、長い艶髪も取り戻しているといいです。
私も今40代後半を迎え、パヤパヤしたアホ毛や、心もとなくなった生え際を如何に乗り越えていくか、そんな課題に立ち向かっております。
「ストレスは万病の元」
生きていく中でストレスは避けられないけど、
自分の心や身体を傷つけてしまわないように、上手く対処できる術を身につけていきたいものですね。